パンツをはいたサル 【栗本慎一郎】

パンツをはいたサル―人間は、どういう生物か

パンツをはいたサル―人間は、どういう生物か

前々から読みたかった一冊。ついに読めた!

期待以上におもしろかったです。

人間の持つ光と闇を堂々と語り、なぜか救われた気分になりました。

タイガーウッズとかオリバーカーンが醜いスキャンダルを演じるのも、言ってみればこの
闇の部分によるものだと思います。

なぜ、ヒトだけが、生存と種の維持に不必要な、余分なものを生産するようになったのだろうか。
結論から先に言ってしまうと、生産したものをある瞬間に破壊し、蕩尽してしまうことが、ヒトにとってこのうえない快楽だからである。そして、快楽なしに人は生存も進化もできなかったからである。
(中略)
日常的な生活の中では、人びとは法律や道徳や秩序に従って暮らしている。だが、それだけでは人間は窒息し、精神は沈滞しきり、社会は活力を失って病み衰えてしまう。そこで日常性をひっくり返す瞬間を作っておかなければならない。あるいは、そのひっくり返す瞬間のために、人間は秩序を作り上げたのかもしれないのだ。つまり、お祭り(祝祭)とは社会なり共同体なりの活力を回復させるものなのだ。
だから、この非日常的な場では、ふだんの秩序や価値観が逆転するのがふつうである。

(p.49-51)


最後の一章だけはポランニーの暗黙知をやたらと力説し、それまでとだいぶ論調が違ったのでなんか変な感じでした。