1997年ー世界を変えた金融危機 【竹森俊平】

1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74)

1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74)

この人の本は初めて読んだが、コンパクトながらわかりやすくまとまっており、すごく良い印象。
でも論理的な流れは忘れた―orz

やっぱり書評はとっととするに限りますね。

すべての経済はバブルに通じる 【小幡績】

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)

これも結構前に読んだ(1年半ほど前か)。

紺ガエルさんなどは批判していたが、よくまとまっており良い本だった記憶がある。
折り目などつけてないので個別コメントはできないが……

パーソナリティ障害 【岡田尊司】

パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか (PHP新書)

パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか (PHP新書)

付箋が貼ってあるので、結構昔読んだ本だ。

境界性パーソナリティ障害:対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふり構わない努力
   注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと
(2)理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係様式
(3)同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像または自己感
(4)事故を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:消費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い)
   注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと
(5)自殺の行動、素振り、脅し、または自傷行為の繰り返し
(6)顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2〜3
時間持続し、2〜3日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、または不安)
(7)慢性的な空虚感
(8)不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのけんかを繰り返す)
(9)一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤解離性障害

(p.71)

書いていて思ったが、昔付き合った人に良くあてはまるな。

『ビジネス』の発想法 【木村剛】

『ビジネス』の発想法

『ビジネス』の発想法

木村さん2冊目。

投資戦略の発想法とはほぼ180度逆の主張で、同じ人間が書いたものかとびっくりする。

この本の要点は
 ・ビジネスは不確定、何が起こるか、結果がどうなるかはわからない。「売れたものが正しい」という結果の発想。勘と胆力で決断あるのみ。

・起業して成功する確率は5%にも達しません。確率論で考えたら起業すべきではないのです。(p.175)
・一日二十四時間、ビジネスのことを必死に考え続けるべきです。命をかける真剣さがあれば、「勘」が働き始めます。(p.259)
・成功するまでやめなければ成功します。ただし、成功するまでやめないという強い意志が必要です。(p.259)

つまり、資産を増やすための「投資戦略の発想法」ではあれだけ理詰めで説き伏せていたのに、ビジネスに焦点を当てた本書では勘とか胆力とか、一転して理論では見出し得ないところに結論がある。

資産を増やすこととビジネスで成功することとでは、後者のほうが不確定要素が多いということであれば、なんとなく筋は通る気がします。

ここまでいくと、「ビジネスとはなんなのか」が問題となります。著者の意見からすると、経営者のみが行うものがビジネス、私含め多くの人が行っているのが労働というものなのでしょう。
労働とビジネスは全く異なるもの。ビジネスには、まだ踏み出す勇気は出ない。

投資戦略の発想法2010 【木村剛】

投資戦略の発想法〈2010〉

投資戦略の発想法〈2010〉

これは面白い。

要点としては
 ・節約のリターンはめちゃくちゃ高い。とにかく節約に努めろ。
 ・大切なのは自分の力を高めて収入(給料)を増やすこと
 ・投資の際はとにかくリスクを避ける
という、最も至極まっとうなことを全うに述べた本。

逮捕されちゃったけど、正論は正論です。
とりあえず、2年分の生活防衛資金をためることにしました。
何度も読んで勉強したい。
「10冊の本を読むより、この本を10回読んだ本が効果が高い」という著者の言葉は、きっと本当です。

「眞相箱」の呪縛を解く 【櫻井よしこ】

眞相箱の音声の書きおこしと、それに対する著者のコメントがひたすら続く一冊。
構成が超単調で、途中でどこが書きおこしでどこが著者コメントなのか分からなくなる。

ただ、南京事件についてはちょっと参考に書いとく。

南京事件」については、烈しく対立する複数の論がある。『眞相箱』は、大規模な虐殺が行われたと伝えているが、立命館大学教授の北村稔氏の『「南京事件」の探求』(文春新書)及び阿羅健一氏の『「南京事件」日本人48人の証言』(小学館文庫)を併せ読むと全く異なる事実が浮かんでくる。
阿羅氏の著書の中に、上海派遣軍司令部の大西一参謀の証言がおさめられている。大西氏は一九三七年一二月一三日に南京に入場、三八年二月以降も特務機関長として一年間、南京にとどまった。時期、場所からいって南京事件を最もよく知り得る立場だ。
その大西氏は紅卍会についてはよく知っていても、崇善堂という組織については全く知らなかった。双方共に慈善団体で、日本軍が虐殺した中国人の遺体を多数埋葬した、と主張した。特に崇善堂は非常に多くの遺体を処理したという。彼らの主張こそが日本軍による大虐殺が行われたという根拠になっている。
だが大西氏は、紅卍会は知っているが、崇善堂は知らないというのだ。
「それが戦後、東京裁判で、すごい活動をしたといっている。当時は全然知らない」と大西氏は語っている。
ちなみに阿羅氏のこの文庫版は、八七年に出版された単行本が文庫化されたものだ。したがって阿羅氏の大西氏への取材は八七年以前のことである。
少なくとも一五年前に取材された人物の証言とぴったりと重なる事実を発掘したのが北村氏であり、それが書かれているのが二〇〇一年に出版された『「南京事件」の探求』である。
北村氏は崇善堂という組織が保有車一台、しかも部品が欠落していて満足に動かない車を一台持つだけの小さな組織だったことを中国側の資料から発見した。この崇善堂は一九三八年の二月五日から三月六日までのひと月に二五〇〇体余りを埋葬、四月には一〇万体を埋葬したと東京裁判で主張した。
だが北村氏による新資料発見で、崇善堂の主張はにわかに疑わしくなった。中古で動かない車を一台保有しているだけの団体に一〇万体の遺体をわずかひと月で埋葬するほどの活動が可能か。不可能であろう。それに、大西氏が知らないのはおかしい。何といっても氏は南京の特務機関長だったのだ。
加えて北村氏は、南京大虐殺を伝えたジャーナリストのティンパーリーが、国民政府から資金を得ていたことも新しく得た資料で明らかにしているのだ。
世界中に”事実”として広まっている日本による南京での三〇万人あるいは二〇万人虐殺説は今、こうした新しい資料によって否定された。それらの新しい情報をしっかり学べば、「南京大虐殺」は存在しなかったという結論に達せざるを得ない。心して、一人一人が、新情報から目をそむけないで、自分の目と頭でたしかめ、考えたいものだ。

(p.399-402)

貧弱な資料と根拠対決だ。。。

錦繍 【宮本輝】

錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)

錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)

全文手紙形式で最初から最後まで。
純愛ではないけれど、とにかく美しい。
人の精神のピュアな部分だけをつめたような、すごくいい作品。
小説なのに何度も読めそう。あと1回は読む。